2012年4月17日の住宅新報に「中古流通市場 選ばれる担い手(5) 需要変化の兆しをキャッチ 求められる意識改革 大規模リフォーム 一括ローンで敷居低く」というタイトルで、リニュアル仲介に関する記事が掲載されました。


 中古・リフォーム市場の拡大が予想される中で、仲介業者にはどのような役割が求められているのか。4回にわたって中古流通に携わるネットワークの運営者にインタビューを行ってきたが、最後に総括する形で再考したい。

■ワンストップで 付加価値高める

 まず、すべてのネットワークに共通するのが「ワンストップ対応」。例えばハウスドゥ(東京都千代田区)は10年から、住まいに関する要望すべてに対応する大型店舗『住宅情報モール』を展開中だ。
 〝所得不安〟がまん延しているとは言え、従来のように価格的に手頃というメリットだけでは、中古需要拡大の起爆剤として弱い。資産価値の目減りが少なく、内装を比較的自由に変更できるといった観点でも、優位性を示すことが重要になる。そのため、初期段階でのリフォーム提案は外せない。また何らかの方策によって、『質』に対する不信感を払しょくすることも必須だ。これらの〝付加価値〟を中古流通と併せて提供し、購入の満足度を高めるのがワンストップの狙いである。
 中小事業者の場合、単体で一連のサービスを提供することは非現実的。そこで、専門業者間で連携する体制が必然的に浮かび上がる。これに該当するのが、『リニュアル仲介』(東京都新宿区、西生建社長)と『リノベる。』(東京都渋谷区、山下智弘社長)、センチュリー21・ジャパン(東京都港区、三津川一成社長)が間もなく開始する『リボーン住宅』。これら3つの仕組みでは、取引のスタート地点に立つ仲介業者に掛かる期待が大きい。

■大規模リフォーム 一括ローンで敷居低く

 内装の刷新や耐震性の向上などを含めて提案するため、リフォームは大掛かりな工事を伴うケースが大半だ。『リニュアル仲介』では、リフォーム費の平均額が600万円を超え、1000万円規模も約1割を占めるという。
 だが業界では、大規模リフォーム需要の伸長について懐疑的な見方が少なくない。これに対し、リノベるの大森章平副社長は「やりたくても〝できなかった〟だけ」と指摘。一因として、一般的なリフォームローンが無担保融資のため割高であり、結果的に利用者層が限られていた実状を挙げた。同社ではリフォーム費と物件購入費が一括融資される専用ローンを、地銀との提携により開発済み。また、近年はみずほ銀行を始め、こうした『一括ローン』を商品化する動きが加速している。『リニュアル仲介』でも、この種のローンを全案件で適用しているという。

■相次ぐ異業種参入 〝従来通り〟で大丈夫?

 ほかに、報酬と業務負担とのバランスを疑問視する声も聞こえる。『リニュアル仲介』と『リノベる。』では工事費から仲介業者にバックする協力金制度を整えているが、他業者とのやり取りを始め手間が掛かるのは確かだ。また、工事の規模が大きければその分物件代に割く予算が削られ、手数料が減るとの懸念もある。
 しかし、情報のオープン化がますます進む今後、従来と同じ事業スタイルで業績を維持できる保証はどこにもない。業者間競争も、既に激化の様相を見せ始めている。 
 ハウスドゥが運営する売買仲介のフランチャイズには現在、約220店舗が加盟しているが、その7割が建築・リフォーム業を始めとする異業種だ。「予想外だった」と話す安藤正弘社長は、「かねてから仲介業への進出を検討していた事業者が、当社FCへの加盟によってそれを実行に移したのでは」と分析する。
 『リニュアル仲介』には現在、約650社が加盟。『リノベる。』も順調にその数を増やしており、市場環境の変化に対応すべく仲介業者も動き始めている様子がうかがえる。ただ、いずれのネットワークも実績を伸ばしているものの、〝急拡大〟とは言い難いのが現状。鍵を握るのは、一般消費者に対する認知度の向上だ。その意味で、圧倒的な知名度を誇るセンチュリー21が『リボーン』を始める意味は大きい。

 中古需要の裾野が広がり、住宅取得の選択肢としての定着をみたあと、ネットワークごとの特色がより際立つことになるのだろう。(鹿島香子)